映画祭レポート③/東ヨーロッパの短編アニメーション特集


 
映画祭3日目、本映画祭の短編アニメーション部門国際審査員を務めるイゴール・プラッツェル氏をお招きし、「アニマテカ・プレゼンツ 東ヨーロッパの短編アニメーション特集(イゴール・プラッツェル)」が開催された。
 
 イゴール・プラッツェル氏はスロベニア出身。長年マンガ雑誌の編集者を務めつつ、アニメーションのプログラマーとして国内外問わず活動。2004年にはアニマテカ映画祭を設立し、アーティスティック・ディレクターを務めている。本プログラムでは、そのアニマテカ映画祭での歴代受賞作の中から、イゴール氏がキュレーションした7作品が上映された。冒頭挨拶で、イゴール氏は「スロベニアは人口200万人の国ですが、作家的なアニメーション作品では有名な国です。アニマテカを開催することによってアニメーションの文化を育て、若い作家のサポートをし、作家同士の交流の場所を提供している。」と語る。
 
 上映作品について、「35㎜のフィルムカメラで撮影されたアニメーションが2作品あり、デジタルでは表せないフィルムならではの芸術性が高められている」と述べた。ミカエラ・ミュラーによる35㎜作品『Miramare』はガラスの上に絵具でペイントする「ペイント・オン・グラス」の手法で制作。コンペティション部門にて新作『Airport』も上映されている。
 

『Miramare』予告編

 
 エストニアでは過去、アニメーション制作の重要な役割が男性によってのみ担われていたが、近年では女性作家が多く活躍している。本プログラムでも2名のエストニア出身の女性作家による作品、エレナ・ジリーン氏のストップモーション作品『The Dress』と、アヌ=ラウラ・トゥーテルベルク氏のパペットアニメーション作品『Fly Mill』が上映。『The Dress』 は人物が登場しないままに女性の進出や改革自体を表現する、ある種の一種のパロディー的作品となっている。
 

 
 スロバキア出身のイヴァナ・ラウチコヴァーとマルティン・スノッペックによる『The Last Bus』はフレーム落としの技術で制作している。俳優たちはマスクをかぶり何も見えない状態となり、監督の指示で動きながら撮影された。ポーランド出身のエヴァ・ボリセヴィッチによる『To Thy Heart』は、カトリックを中心として宗教心の強い国であるポーランドにおいて、教会や社会が女性をどのような存在として見ているのかについての批判が表現されている。スロベニア出身のスペラ・カデツの『Boles』は、伝統あるコマ撮りアニメーションの手法を既存の型にはまらない形で、美しく表現している。
 
 最後に「映画は世界共通の言語であるため、映像を観ていただければ言語の壁を越えていけると思う」と語った。(編集局ボランティアスタッフ)