映画祭レポート③/アニメ特撮アーカイブ機構 スペシャルトーク

 映画祭最終日、特定非営利活動法人アニメ特撮アーカイブ機構(英名/Anime Tokusatsu Archive Centre、以下ATAC)の理事を務めるアニメ・特撮研究家、明治大学大学院特任教授の氷川竜介と事務局長を務める三好寛によるスペシャルトーク 「アニメと特撮の文化を後世に遺すために」が開催された。ATACによるアーカイブ事業とはどのようなものなのだろうか。
 
 ATACは、アニメと特撮の文化を後世に遺し継承していくことを目的に、2017年6月に設立された特定非営利活動法人(NPO法人)。アニメや特撮に関する様々な資料を保全して、これらを活用した普及啓発を行い、アニメと特撮の文化を継承するアーカイブ活動を推進している。
 メンバーは理事長に「エヴァンゲリオン」シリーズなどの監督・プロデューサーである庵野秀明(株式会社カラー)、副理事長に「日本沈没」(2006年版)「シン・ゴジラ」など監督である樋口真嗣らが務め、ほかに映像制作や学術的な立場も含めたメンバー構成となっている。
 

 
 このトークに先立ち、同日シアター3では「アニメ特撮アーカイブ機構セレクション テレビシリーズ『宇宙戦艦ヤマト』」が上映され、二人によるトークが開催されていた。氷川は、テレビシリーズの『宇宙戦艦ヤマト』(1974)がいかに映画的で、特撮とアニメにとってエポックメイキング的な作品だったかを説明し、放送から40年以上経過した今、このことが語られず風化されることに危機感を覚えていたとのこと。また、本シリーズの放映当時、高校生だった氷川は制作現場を訪れ、当時の制作陣から制作に関する濃密な話を聞いたり、廃棄される予定だった資料を譲り受け保存し始めたりしたことが、ATACの前身となったという。
 

 
 氷川が『宇宙戦艦ヤマト』の資料を譲り受けてから30年ほどが経った2006年から2009年ごろ、個人収蔵の限界(コレクターの高齢化、収蔵物の経年劣化)や、特撮の限界(特撮からCGへの流れ)などの問題が起きていた。そのような中、庵野や樋口をはじめ、のちのATACメンバーで食事会があり、当時の特撮アイテムなどの修復について話が上った際、庵野から提案されたのが「特撮博物館をやろう」という話だった。結果としてこれが2012年の「館長 庵野秀明 特撮博物館 -ミニチュアで見る昭和平成の技-」の開催につながり、29万人という多く来場者を集め、ATACの発足につながった。
 
 ATACの具体的な活動として、文化庁メディア芸術祭に関する各種事業への協力、株式会社カラー10周年記念展への協力、円谷英二の出生地である福島県須賀川市との連携、円谷英二の最後の長編作品となった『日本海大海戦』(1969)に登場する「戦艦三笠」の木製ミニチュアの修復、出版やセミナーなどを通した周知展開が紹介された。
 

 
 終盤、客席から「ATACメンバーの記録や後継者はどう残すのか」と質問され、「こういったセミナーや講演に来た参加者が自分達の後継者になってくれると考えている。特に情熱を伝えることが大事だと考えている」と思いを伝えた。また、やはりこれだけの活動を行うには寄付、寄贈・寄託が大事となり、協力を呼びかけた。もちろん金銭的、物理的な協力だけでなく、こういった会があり、寄贈方法の周知などが知れ渡ること、そしてこれらは時間のかかる作業なので地道な口コミをしてもらえることが何より大切とのこと。
 
 特撮とアニメ、今日の日本文化として欠かせないこれらを後世に残すために活動を行っているATAC。ファンとしては何かしら協力していきたいと刺激を受ける、情熱あふれるトークショーだった。
 
 


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