新千歳空港国際アニメーション映画祭は、北海道と世界を結ぶゲートウェイである新千歳空港ターミナルビル(北海道千歳市)を会場とした、アニメーション専門の映画祭です。
ターミナルビル内に常設映画館を有する新千歳空港という、唯一無二の場をもつ本映画祭は、「空港全体で発信する、空港だからできる映画祭」として2014年に開幕し、2025年で12回目を迎えます。
本映画祭は、上映・宿泊・滞在などのすべてが空港内で完結する世界でも稀な映画祭として注目を集めるだけではなく、コンペティション部門では国内最多の応募数を誇り、国内外クリエイターによる講演やパブリックスペースでの展示など、アニメーションを多角的に紹介するプログラムを展開。今や国内トップレベルの規模を誇るアニメーション映画祭に成長しました。
12年目を迎える本年映画祭でも、アニメーションシーンの”いま”をとらえ、年に一度、最先端かつ多様なアニメーション表現を国内で最多数見られる場となること。そして新千歳空港がクリエイターと北海道をはじめ映画祭を訪れるすべての人々に愛される国際文化交流拠点となることを目指し、さまざまな取り組みを行ってまいります。
毎年秋に新千歳空港で、多様な未来につながるアニメーションの体験を提供することで、より広い世界と結びつくグローバルな人材の育成、ひいては北海道の文化観光振興にもつながるものと考えています。ぜひご期待ください。
新千歳空港国際アニメーション映画祭実行委員会
メッセージ
(映画祭チーフディレクター 小野朋子)
新千歳空港国際アニメーション映画祭は12回目を迎えます。信頼される映画祭を作るために駆け抜けてきた初期よりも一層、回を重ねる喜びを噛みしめ、「新千歳らしさ」をチーム全員で模索しています。
新千歳空港がある北海道は、一年のうち何ヵ月も深い雪とともに暮らす地です。「新千歳らしさ」につながる重要な要素として「北海道らしさ」に思いを巡らせると、先日、北海道に定住し彫刻を生業とした最初の彫刻家、本田明二氏に学んだ言葉があります。
「”北海道的” とか ”北海道らしさ” とは、意識して形や色で表現できるものではなく、もし、その ”的” とか ”らしさ” というものがあるとすれば、長い冬の雪との闘いの中から育まれてくる、無形のものではないだろうか。」
本映画祭が強度ある作品を長く紹介してこられたのも、この逞しい地がもつ、多様で実験精神に溢れた表現を楽しむ懐の深さに支えられている気がしています。また「新千歳らしさ」とは、この場に集う人々が作り上げてきた魅力でもあります。新千歳空港の規模だからこそ体験できる、作り手との密な交流と、刺激的なアニメーションを浴びる時間。作家が作り続けていくヒントと着火点を得るために映画祭はあり、そのポテンシャルを持続させるべく、今年はいくつかのプロジェクトを更新して臨もうとしています。
そして観客には、映画祭は関係者のためだけでなく、開かれた場であることを何度でも伝えていきたい。「理解」を前提として作品に対峙する必要はなく、賑やかで楽しい時間を体験して、時に困惑し、心が動いた記憶が未来の映画祭を作っていくのです。
コンペティション長編部門は昨年まで40分以上の作品を対象としていましたが、今年は30分以上の作品を対象とします。近年、短編のなかでも長尺な作品が増えてきており、今後もこの傾向は続いていくでしょう。本映画祭では限られた日数の中で、短編だからこその魅力をできる限り多く紹介したく、また中編も積極的に紹介したく思い、このような条件としました。
2025年はいつもよりちょっと遅い初冬の開催です。今年も新千歳空港で会いましょう!