新千歳空港国際アニメーション映画祭は、北海道と世界を結ぶゲートウェイである新千歳空港ターミナルビル(北海道千歳市)を会場とした、アニメーション専門の映画祭です。
ターミナルビル内に常設映画館を有する新千歳空港という、唯一無二の場をもつ本映画祭は、「空港全体で発信する、空港だからできる映画祭」として2014年に開幕し、2024年で11回目を迎えます。
本映画祭は、上映・宿泊・滞在などのすべてが空港内で完結する世界でも稀な映画祭として注目を集めるだけではなく、コンペティション部門では国内最多の応募数を誇り、国内外クリエイターによる講演やパブリックスペースでの展示など、アニメーションを多角的に紹介するプログラムを展開。今や国内トップレベルの規模を誇るアニメーション映画祭に成長しました。
今年もゲストと観客が密接に交流できる独自の場を活かし、アニメーションの意義を拡張するような新しい価値を生み出す「遊び場」として、エネルギーを持ち帰ることができる文化交流拠点の創造を目指します。
毎年秋に新千歳空港で、多様な未来につながるアニメーションの体験を提供することで、より広い世界と結びつくグローバルな人材の育成、ひいては北海道の文化観光振興にもつながるものと考えています。ぜひご期待ください。
新千歳空港国際アニメーション映画祭実行委員会
メッセージ
(映画祭チーフディレクター 小野朋子)
「映画祭は10年開催して一人前」と言われますが、10年間一度も途絶えることなく歩み続けた本映画祭も今年で11回目を迎え、より質の高い国際映画祭を目指して新たなスタートラインに立ちます。
本映画祭は、年々アニメーションの定義が多様化する時代とともに、スクリーンで対峙する作品だけでなく、ゲームやXRといった広義のアニメーションにも焦点を当て、多角的なプログラムを展開してきました。近年は映画祭を訪れた方々に「新千歳は何でもありですね」と言われることが多々あります。面白さを追い求めてきた結果ですが、アーティストたちが挑戦したくなるような予想外の発見は多ければ多いほど良く、映画祭をそうした混沌の場として機能させたい思いは常に持っています。
そもそも空港で開催する本映画祭自体が、大きな実験場です。エンターテイメントかアートかというアーティストの実践を分類する視点から離れ、もっと先の可能性に到達できるようなポテンシャルがアニメーションにはあります。そのポテンシャルを持続させるために、完成形のない「アニメーションの意義を拡張させる遊び場」を発展させていくこと。そこに「未来の映画祭とは何か」という問いかけのヒントがあると考えています。
今年はコンペティションに、新千歳空港内各所のデジタルサイネージで入選作品を放映する「30 Seconds 部門」を新設します。年間約2200万人が利用する新千歳空港で、世界中から訪れた誰かが偶然、作品を目にする。アニメーションと新千歳空港のポテンシャルが互いに増幅し、あらゆるクリエイターに何かが着火することを願っています。
開催地である北海道では、感想を言語化してくれる地域の参加者が増え、中には映画祭をきっかけにアニメーション制作を始める方も生まれました。レベルの高い作品を浴び、交流がもたらす偶然の煌めきによって、地域の人々にも自発的な創造性が確かに育まれていると感じます。
次の10年と言わず未来へ向けて。今年も11月に新千歳空港で会いましょう。