普通の生活が続く毎日。私たちが何度も何度も繰り返す瞬間の連続は、決して同じものではなく、すべては変わり揺れ動くもの。何かに触れる瞬間、過去や未来のどこにも存在しない場所へと向かう私たちの意識。不確かで流動的な世界においては、体が何かに触れることだけが、この現在の現実に存在し、それが“今”と認識されることができる。その瞬間は尊いものだ。

ある絵が徐々に形になっていく様子を描いた短編アニメーション。逃走するイノシシの物語、そして、かつては自然界だった場所を人々が支配していく様子を描く物語。ベルギーのアルデンヌ地方を散歩した時の記憶がストーリーの基になった。また、この映画は、たった１枚の紙に絵を描きアニメーション化を実現させた、１つの“パフォーマンス”でもある。

もはやベッドから出ることがない年配の女性。彼女は犬と生活していた。混ざり合う記憶と現実。現実は夢とも入り乱れる。

ある１人の人間が夜中に散歩をしていると、１匹のカエルに出くわす。そのカエルは明らかに、人間との出会いを求めていなかった様子。楽曲のワイルドなビートに酔いしれるカエルと、その子供、そして森の仲間たちは、招かれざる客が早く去るよう祈るのだった。