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 2024年11月1日(金)~5日(火) 新千歳空港ターミナルビルにて開催

第11回 新千歳空港国際アニメーション映画祭 2024.11.1 – 11.5  新千歳空港ターミナルビルにて開催

NEWS

新千歳空港国際アニメーション映画祭実行委員会では、2024年11月1日(金)〜5日(火)までの5日間にわたり「第11回 新千歳空港国際アニメーション映画祭」を開催しました。

11月3日(日・祝)の特別プログラムでは、乃木坂46一期生・高山一実の長編小説デビュー作を原作とした映画『トラペジウム』を上映。上映後は「メイキングオブ:トラペジウム」と題し、本作の制作背景についてのトークイベントを開催しました。

映画『トラペジウム』

トークイベントの会場には「トラペジウム」の多くのファンが来場。たくさんの立ち見が出、その熱量に圧倒されるほど。本作の人気が伺えます。ゲストに、監督である北海道出身の篠原 正寛 氏、アニメーションプロデューサーの染野 翔 氏、プロデューサーの橋本 渉 氏を迎え、予定時間を超えての熱いトークイベントが行われました。

シナリオの制作にあたって

乃木坂46の1期生・高山一実さんが、雑誌『ダ・ヴィンチ』で2016年から執筆した長編小説『トラペジウム』。2018年発売の単行本は累計30万部の大ヒットを達成し話題になりました。この小説のアニメーション映画化をするにあたり、「原作をどう90分の映像にするか」を考えたという篠原監督。

群像劇なのか、東ゆうを主役にするのかについて、「原作を読んだ時の印象から、これは東ゆうの物語だというのが強くあった」と、言い切ります。主人公である東ゆうの解像度を上げていくことに注力していったという経緯について説明します。「東ゆうは独特な主人公」と言う橋本氏の言葉に、篠原監督はすかさず「僕は好きですよ!」と続けます。

トークセッションの様子
トークセッションの様子

アイドルになることを信じて行動し続ける純粋さが強烈なキャラクターとして、鑑賞者たちにさまざまな思いを引き起こしている主人公・東ゆう。「みんなそれぞれ色んな自分を使い分けていると思う」「一人の人間を追っていく上で、結果ゆうの色んな部分をたくさん見てもらっている」と、彼女のキャラクターの魅力や強さについて語りました。

キャラクターデザインと原作者・高山一実さんとのやりとりについて

左から監督の篠原 正寛 氏とアニメーションプロデューサーの染野 翔 氏
左から監督の篠原 正寛 氏とアニメーションプロデューサーの染野 翔 氏

本作のデザイン的なこだわりについて話が及ぶと、キャラクターのデザイン画等をスクリーンに映し出しながらのお話しに。中でもかなりこだわって取り組んだという衣装設定については、年頃の高校生らしい着回しのパターンも多数設定したと説明し、「物語としての味になっている」と染野さん。数秒しか出てこない衣装もあり、制作予算・工程とこだわりの葛藤があったことを吐露しました。

篠原 正寛 氏
篠原 正寛 氏

また、原作者の高山さんからのこだわりや指示について問われると、「特に色にこだわりがあった」と振り返り、髪や肌の色など一緒に画面を見ながら調整したり、高山さんがイメージする彼女たちが着る洋服の写真など参考にしてデザインを起こした経緯について説明しました。

一つの見せ場である、アイドルグループ「東西南北(仮)」の衣装設定については、原作の高山さんとキャラクターデザインを担当するりおさんがライブドローイングで作り上げていったもの。「高山さんとりおさんの二人が、かわいいかわいいって言いながら作業し始めたらもう何も言えなかった…(笑)」と橋本さん。「ライブ衣装なんかは本職である高山さんの意見が一番参考になりますから」と染野さんが語ります。

季節感の違い、衣装、光のあたり方などデザインのこだわり

さらに季節感、光の入り方へのこだわりの話にも。アニメーションを制作する際には「順光色付け」という光の使い方を多用することが多い中、今回は「光が入ってくる場所を相当意識した」と篠原監督が光の使い方について、季節ごとの色合いや基準を細かく設定していったと説明。物語の中で度々登場する舞台である丘のシーンなど、背景パターンは10以上あると言います。

また、「背景を担う美術監督の真骨頂だった」という本屋のシーン、書籍を描くワンカットへの並々ならぬエネルギーをかけた話なども、そのこだわりや熱量に来場者から笑い声も起こります。篠原監督は本屋の背景が上がってきたとき「発注者としてテンションが上がる瞬間だった」と満面の笑顔で付け加えました。

トークセッションの様子
トークセッションの様子

物語の最後を締めることになる、ゆうの“計画の協力者”である工藤真司の写真展のシーンについても言及。実際に写真家として活躍されているKAGAYA氏の協力のもと星空写真をお借りした際、それぞれの写真作品をアニメーションで使用する際のポイントが書かれた解説と一緒に提供してもらったとのこと。

シーンの中でも、館山の写真から世界を舞台にした写真へと、真司が写真を撮り続けながら世界を広げていったように構成されており、染野さんは、写真の存在感がありつつ背景として馴染むように、工夫しながら制作したことを語りました。

事前に募集した質問は多数に及び、予定時間をオーバーしながらもファンからの篠原監督の質問に丁寧に答えていただき、貴重な機会に。メモをとりながら参加する方も多く、最後の最後まで熱い時間となりました。

篠原監督は「初めて監督をさせていただき、こうしてたくさんの方が見てくださっているというのは本当にありがたい。幸せな経験をさせてもらっている」と感謝を述べ、大きな拍手でトークイベントを終えました。

トークセッションの様子

新千歳空港国際アニメーション映画祭

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